お知らせ

★お知らせ
 【2015年カレンダーは2種類!】A4ポスタータイプ(縦)と2013年までと同様のA4冊子タイプ(横、上開き)の2タイプです。全部がツシマヤマネコの写真です。
 冊子タイプは間もなく完売です!

2012年10月31日水曜日

10月のカレンダーその2:アムールカナヘビ

10月ももうほんのわずかで終わろうとしているところですが・・・
駆け込みで今月のカレンダー左下にいるアムールカナヘビをご紹介します。

アムールカナヘビ(学名:Takydromus amurensis)は、爬虫綱有鱗目トカゲ亜目カナヘビ科クサカナヘビ属に分類されるカナヘビです。
日本では対馬にだけ分布していますが、沿海州(ロシア極東部)アムール川周辺から朝鮮半島に分布しています。
種小名 amurensis は「アムール産の」のという意味です。

環境省第4次レッドリスト(2012)では準絶滅危惧(NT:現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種)になっています。

長崎県のレッドリストでは、2001年に準絶滅危惧(NT)だったものが、2011年の改定で絶滅危惧Ⅱ類(VU:絶滅の危険が増大している種)にランクアップしています。
長崎県の2001年レッドリストによると、対馬の中でも分布に偏りがあり、南部では見られないようです。

沢沿いの草むらなどを好むようですが、非常に臆病で危険を感じると俊敏な動きで穴の中などに逃げ込みむそうです。

・じゃぷれっぷ in FIELD Star :アムールカナヘビ
http://homepage3.nifty.com/japrep/lizard/kanahebi/text/amu-ru.htm

また、「カナヘビ属(Takydromus)の中では若干変わっていて、地中の穴を利用することが多く、すぐに穴に隠れる。そのような穴がある好適なハビタットが少ないので、林道開発などの影響を受けている。」のだそうです。
・東海大学札幌校舎 竹中研究室:日本のカナヘビ類
http://members3.jcom.home.ne.jp/takydromus-sp/takydromus.html


アムールカナヘビも、ツシマヤマネコと同じように大陸と陸続きの時に対馬にやってきて、海面の上昇によって対馬が島になってからも(約10万年前と言われています)、ずっとこの島で暮らしている動物です。
時々ツシマヤマネコに食べられているようですが、こうした動物たちがいるからこそ、ツシマヤマネコも生きていけるのです。
また、昆虫などのさらに小さな動物がアムールカナヘビを支えています。

ずっと対馬に生息してきた色々な動植物が(時には食べたり食べられたりしながら)、いつまでも暮らせる対馬であってほしいなぁと思います。

2012年10月27日土曜日

第7回投票結果+「ネコ」って?

第7回投票「あなたはイヌ派?ネコ派?」、9月末から受け付けていた投票は25日に締め切りました。
投票数は・・・ない・・・0です。
しかし、締め切り前日には3票入っていたのです!
どうやら何らかのエラーが発生したようです(涙)。

そのため、私の記憶に基づいて結果発表します。
直前に投票していただいた方もいたかもしれませんが、そして私の記憶がまちがっているかもしれませんが、どうぞご容赦ください。

選択肢と投票数は以下の通りです。
・イヌ派      0票
・ネコ派      2票(66.7%)
・どちらでもない 1票(33.3%)

ツシマヤマネコのブログですから、ネコ派が多いのは予想通りです。
でも、「ネコ」って何を指すのでしょう?
イエネコ?ヤマネコ?小型ネコ?(ライオン・トラなどを大型ネコ、ヤマネコ・イエネコやピューマなどを小型ネコと呼んだりします)
イヌとネコと並べて書いたので、「イヌ科」「ネコ科」と思われた方もいたかもしれませんね。

生き物の名前は、国によって呼び方が変わりますが、学術的にはそれらを統一するためにラテン語を使って命名されています。
また、似たものをまとめたグループにも名前がつけられています。
ツシマヤマネコの場合、脊椎動物の哺乳類の食肉類のネコ科のベンガルヤマネコの亜種のツシマヤマネコなどと言ったりしますが、学術的に書くと・・・
動物界 Animalia
 脊椎動物門 Chordata
  哺乳鋼 Mammalia
   食肉目 Carnivora
    ネコ科 Felidae
     ベンガルヤマネコ属 Prionailurus
      ベンガルヤマネコ Prionailurus bengalensis
       ツシマヤマネコ(アムールヤマネコ) Prionailurus bengalensis euptilurus
となります。
正確に言うと、私が使っているのはこれですが、研究者によって分け方が異なったり、それぞれのグループの名前が違っていたりします。

そのため、文部省(現 文部科学省)がこれらの用語を統一するために、「学術用語集」というのを出しています。
動物学についての最新版は、1988年丸善出版発行、文部省・日本動物学会編の「学術用語集 動物学編(贈訂版)」なのですが、この時に「目」以下の名前はそれまでに使われていた漢字の名前から、それぞれの動物群を代表する動物名のカナ書きに変える改定がされました。
そして「食肉目」は「ネコ目」とされたのです!
なので、ネコと言えば食肉類と思う方もいるかもしれません。
つまり、イヌもネコ!・・・かも?

しかし、日本哺乳類学会はこの「文部省式カタカナ目名」は混乱を招く恐れがあるなどの理由から批判的で、種名・標本検討委員会の中に目名問題検討作業部会を作り、日本語名称を提案しています。
そして、食肉目は「ネコ目」とするよりも「食肉目」のままがいい、としています。
・哺乳類の高次分類群および分類階級の日本語名称の提案について(哺乳類科学、43(2):127-134、2003)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/43/2/43_2_127/_pdf
(10/28 リンクを貼り直しました)

イヌとネコは仲間(同じ目)ですけど、イヌがネコの類(ネコ目)というのはやっぱり抵抗がありますね。

2012年10月24日水曜日

10月のカレンダーはチョウセンイタチ

すっかりご無沙汰してしまい、10月ももうあと1週間ですが・・・今月のカレンダーの「チョウセンイタチ」をご紹介します。
(右側が光っているのは照明の反射です)

対馬に生息する在来の食肉目の動物は、ツシマヤマネコとツシマテン、そしてチョウセンイタチの3種です。
ツシマヤマネコとツシマテンは、文化財保護法で国の天然記念物に指定されていますが、チョウセンイタチは指定されていません。
しかし、環境省のレッドリストでは、準絶滅危惧種(NT)「存続基盤が脆弱な種」になっています。

チョウセンイタチ(学名:Mustela sibirica coreana)は、世界的にみるとかなり広く分布しており、「タイリクイタチ」や「シベリアイタチ」とも呼ばれる事があるようですが(和名をシベリアイタチとした方がよいという人もいるようです)、日本での自然分布は対馬だけです。
対馬(島)という限られたにいるため、準絶滅危惧種になっているのだと思います。

ただし、「自然分布は」と書いたのは、本州西部や四国・九州やその周辺の島に、大陸から移入した(させられた?)らしいチョウセンイタチいるからです。
そして、そういった地域には在来種のイタチ(Mustela itatsi )がいて、近年は外来種であるチョウセンイタチが優勢になったせいで山間部に追いやられているのだそうです(阿部ら、2005「日本の哺乳類 改定版」)。
しかも、一見しただけでは区別がつかないそうで(チョウセンイタチの方が大きいようですが)、正確な分布が把握できなくなっているそうです。
このため、チョウセンイタチ=外来種 と勘違いしている人もいるようです。
・国立環境研究所 侵入生物データベース:チョウセンイタチ
http://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/10180.html

対馬ではほぼ全域に生息しているのではないかと思いますが、どちらかというと南の方に多いような気がします(多分きちんとした調査はないのではと思います)。
特に、上県町などでは、ヤマネコやテンよりも見る機会は少ないのではないでしょうか。
沢をよく利用しているようなので、目につきにくいのかもしれません。

本州などだと、イタチはずる賢く、テンは臆病で目につきにくいというイメージがあるようです。
対馬だと逆ですよね。

チョウセンイタチはツシマテンと同じような体色をしていますが、ツシマテン(体重1kgちょっと)よりも小さく、さらにメスの体重(約400g)はオスの半分程度で、鼻の周りが白いのが特徴です。
ツシマテンはぴょこぴょこ走る感じですが、チョウセンイタチはシュルシュルっと走っていくような感じです(わかるでしょうか?)。

ツシマヤマネコは完全な肉食ですが、ツシマテンは果実をよく利用しています。
チョウセンイタチも果実を利用するようですが、昆虫やムカデなど、肉食の割合が高いようです。
生態系の上位にいる食肉目3種が島に生息しているというのは、結構珍しい事のようです。
対馬にはそれだけの種を維持できる豊かな環境が、高い生物多様性があるという事なのだと思います。
3種を一緒に調査できればもっとよくわかるのでしょう。
また、ツシマテンやチョウセンイタチを調べることで、ツシマヤマネコを増やしていくための方法も見つかるのかもしれません。

もっとチョウセンイタチにも興味をもってもらえたらいいなぁと思います。