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2012年9月13日木曜日

環境省レッドリストとツシマクロアカコウモリ

前回↓から少々日が経ってしまいましたが、続きです。
・2012年9月5日投稿「環境省レッドリストの改定」
http://240yamaneko.blogspot.jp/2012/09/blog-post.html

今回の改定で私が注目したのは「ツシマクロアカコウモリ」でした。
第3次で情報不足(DD:Data Deficient)にされていたのが、第4次では「クロアカコウモリ」として絶滅危惧ⅠA類になっていたからです。

理由は2つ。
1)ツシマクロアカコウモリの「ツシマ」がなくなっている事:対馬固有ではない?
2)情報不足としていたものが絶滅危惧ⅠA類になっている事:新しい情報が得られた?

東海大出版会から出ている「日本の哺乳類」(監修:阿部永、1994年発行)の改定版(2005年発行)では、クロアカコウモリ Myotis formosus として以下のように書かれています。
・日本では対馬だけから知られ、まだ10頭以下の採集記録しかない。
・朝鮮半島産とともに、他地域とは異なる亜種ツシマクロアカコウモリ(M. f. tsuensis)と考える研究者もいる。
・環境省のレッドリストでDDとされているが、これは日本で唯一の採取記録のある対馬での発見場所やその状態から、そこでの繁殖が疑われているからである。したがって、朝鮮半島より対馬に時々迷って帰来する、いわゆる「迷蝠」だとする意見もある。

どうやら1)については、「対馬のクロアカコウモリ」という亜種があるという説は一般的ではないようです。
(そしてこの亜種とする説でも、「対馬の」とは言っても朝鮮半島とは同じ亜種で、対馬固有ではないということですね。)

2)についてですが、2007年に「哺乳類科学」(哺乳類学会の和文誌)に「対馬のコウモリ類」(河合久仁子ら)という報告が出ており、2006年に上対馬町と厳原町のそれぞれで雌雄1組の計4個体を確認したそうです。
これにより、「現在でも対馬に生息している可能性が高まった」が「生息している個体は少ないと言えるだろう」としています。
この情報を元にDDから絶滅危惧ⅠA類になったのではないかと思います。

環境省は今回公表した第4次レッドリストに基づいて、改定版レッドデータブックを2014(平成26) 年に発行予定とのことですので、詳細はここに書かれるのでしょう。
早く出てほしいですね。

ちなみに小型のコウモリ類は洞窟をねぐらとして利用するものも多いのですが、クロアカコウモリは森林(樹洞、樹冠、樹皮下など)を利用している可能性が高いそうです。
森の中でコウモリが飛んでいたら、クロアカコウモリかもしれませんよ。
・NHK ダーウィンがきた!:第55回「黄金コウモリ大発見」(韓国のクロアカコウモリ)
http://www.nhk.or.jp/darwin/program/program055.html

2 件のコメント:

  1. 大変勉強になりました。

    ありがとうございました。 σ(^_^)は土着コウモリだと思っています。
    とてつもなく数が少ないにしても,あくまでも探す人が少ないというのは事実ですよね。

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    1. 文献の確認に手間取って遅くなってしまいましたが、根拠が示せてよかったです。
      それにしても「迷蝠」って言葉・・・初めて見ました(笑)。

      コウモリに限らず、探す人やわかる人が少ない生き物は、仮にたくさんいたとしてもあまり気付かれずに情報も少ないものですよね。

      まずは知ってもらうところからと思うのですが、私も知らない事だらけなので、色々調べつつご紹介してます。
      いい勉強になってます(^_^;)

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