2008(H20)年3月23日、千石先生は上県町佐須奈の上県地区公民館にいらっしゃいました。
市民シンポジウム「あ、つながってる ~私たちのくらしとヤマネコ~」(主催は環境省・長崎県・対馬市)での基調講演とパネルディスカッションに参加されるためでした。
千石先生が対馬に来られたのはこれが初めてではありませんでした。
1987(S62)年に長崎県が出した「対馬自然資源調査報告書 対馬の自然」という本の中で、「対馬及びその周辺地域の爬虫両生類の分布と分析」を執筆されており、この頃実際に対馬で調査もされていたようです。
基調講演では、確かこの本の図表も使われ、「海峡の狭間で~対馬以外にどこにいる?動物相の特徴」と題して、対馬と周辺の動物を比較し、対馬の動物相の魅力をお話し下さいました。
講演直後の質疑応答では、会場からの「一番好きな動物は?」との質問に、世界中で色々な野生のネコを見たお話をして、ネコ好きだとお答えになりました。ツシマヤマネコもお気に入りだったようです。
(この質問者の方は、テレビで千石先生がツシマヤマネコのトレーナーを着ているのをご覧になったそうです)
この時、既に癌を患っていらっしゃいました。
質問タイムの最後は「ガンの病み上がりでふらふらしててすみません。まぁガンばります」と締めくくられたのですが、笑っていいのか悪いのか・・・
きっと大爆笑してほしかったのではないか、と今は思ってます。
お忙しい先生はゆっくり滞在できなかったようですが、ツシマカブリモドキを自分の手で採集したいと短い空き時間も外に出て、講演の直前も、空港までの帰り道でも探していたそうです(時期も悪く、結局採取できなかったとか)。
・ツシマカブリモドキ
ツシマヤマネコが、ツシマカブリモドキが、ツシママムシやツシマサンショウウオ、その他にもいるたくさんの種類の生き物たちが、ずっといつまでも対馬で元気に暮らしていける事を、千石先生も願っているものと思います。
もちろん対馬の人たちとともに、です。
対馬に特異で豊かな動物相がある事を紹介して下さった事に深く感謝するとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。